結城浩のログ 2015年04月


単位元以外の元の位数が
$2$に等しい群はアーベル群であることの証明

命題

群$G$において、単位元以外の任意の元の位数が$2$に等しいならば、 $G$はアーベル群である。

(メモ)群$G$の元$g$の位数が$2$に等しいとは、$gg = e$を意味する($e$は単位元)。群$G$がアーベル群であるとは、群$G$が可換であることを意味する。すなわち、群$G$の任意の$2$元$a,b$について$ab = ba$であることを意味する。

証明

$a,b$を$G$の元とする。仮定より、
$$
(ab)(ab)=e,\quad aa=e,\quad bb=e
$$
がいえる。すなわち、
$$
ab = (ab)^{-1},\quad a=a^{-1},\quad b=b^{-1}
$$
が成り立つ。また一般に、
$$
(ab)^{-1} = b^{-1}a^{-1}
$$
が成り立つ。よって、
$$
ab = (ab)^{-1} = b^{-1}a^{-1} = ba
$$
すなわち$ab = ba$が成り立ち、群$G$はアーベル群である。

(証明終わり)

行列の共役
が作り出す関係が同値関係であることの証明

$n$次の正方行列$A,B$に対して、関係$A \sim B$を以下のように定義するとき、この関係$\sim$が同値関係であることを証明する。
$$
A \sim B \Longleftrightarrow \text{$P^{-1}AP = B$を満たす正則行列$P$が存在する}
$$

(反射律)$P$として単位行列を取れば$P^{-1}AP = A$が成り立つから、$A \sim A$である。

(対称律)$A \sim B$のとき、$P^{-1}AP = B$なる$P$が存在し、$Q = P^{-1}$と置けば$Q^{-1}BQ = A$である。したがって、$A \sim B$ならば$B \sim A$である。

(推移律)$A \sim B$かつ$B \sim C$であると仮定する。このとき、$A \sim B$から$P^{-1}AP = B$なる正則行列$P$が存在し、$B \sim C$から$Q^{-1}BQ = C$なる正則行列$Q$が存在する。よって、$Q^{-1}BQ = Q^{-1}P^{-1}APQ = C$である。ここで$R = PQ$と置けば、$R^{-1}AR = C$が成り立ち、$A \sim C$であることがいえる。

以上より、関係$\sim$が同値関係であることが証明できた。

※単位行列、逆行列、行列の積に対応しているのが興味深い。

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